実家の近くの水産加工場

私の実家は海沿いの田舎で、家は特に海岸線に面したところにあり、近くにたくさんの水産加工場がありました。

土地柄、海の幸が大量に獲れるため、それらを加工する施設が多いのは、雇用もあるわけだし、町の経済が潤っている証拠なのですが、私にとって子供の頃から許せないことが1つありました。

それが何かというと、加工場が出す臭いです。海産物を加工しているのですから、それなりの生臭さがあっても仕方がないこととは子供心でも理解していたのですが、それでも許せないところがありました。

それは、家から見えるほどの近距離の加工場の中に、排水の処理がなっていないところがあって、いつも車道に排水が流れ込んでいるということ。

学校から帰る途中、その道を通らねばならず、靴は汚したくないし、ズボンの裾に排水が飛び散るのも嫌で、ある程度大きくなってからは、遠回りをして帰ったりもしました。

その加工場は、私が実家を出たくらいの頃に、設備を大幅に改善したらしく、排水で道を汚すことは無くなったようですが、その前は本当にストレスでした。

特に夏場の臭いはひどくて、風向きが実家側に向いている時は、どれだけ暑くても窓を開けられないほど。北国ですから、エアコンなんてものはどの家にも無く、扇風機だけで凌ぐのですが、もともとの室温が高いために、熱中症になるかと思ったくらいです。

そんなストレスを感じながら夏を過ごしていたわけですが、どうして急にこの加工場の設備が整ったのかというと、うちの親を含む近隣住民の、自治体へのクレームが元だと聞いています。

猛暑の年に、窓を開けられずに体調を崩した老人がいて、救急搬送されるほどの事態になり、それがきっかけでクレームを出すことになったとか。小さな町でも、町民の力でなんとかなるものなのですね。

ともあれ、その加工場の排水の処理がどうにかなったのはありがたいことです。今では、真夏に帰省した時も、大変快適に過ごすことができています。